外見に大きな異常が発生する「エロモナス症」の症状と治療に必要な薬と対処方法

このページでは、ラミレジィが罹る病気の一つ、「エロモナス症」の症状と治療方法を掲載します。

エロモナス症は運動性エロモナス菌に感染することにより発病する病気の一つです。ラミレジィの飼育で最も発生確率の高く、治療も難しい病気となります。この魅惑のラミレジィに掲載している数々の病気の中で、最も警戒が必要なのがこのエロモナス症になります。

このサイトを運営している著者のお店、オオツカ熱帯魚にて、飼育・繁殖を行っている状態で発病するのは、このエロモナス症がほぼ100%に近く、他の病気と比べて格段に発生率の高い厄介な病気です。

非運動性エロモナス菌の感染によって発病する穴あき病については、水温が高めで飼育することの多いラミレジィに発生する可能性は低く、注意が必要なのは運動性エロモナス菌の感染によって発生するエロモナス症になります。

エロモナス症の病状について

運動性エロモナス菌の感染によって発病する病気はその症状によって幾つかの名称で知られています。体内の水分調節がうまくできなくなり、腹腔内に水が溜まる「腹水病」や鱗が逆立ってマツボックリのように見える「松かさ病」、目が飛び出てしまう「ポップアイ症」と言った名称で区別されます。

初期症状として、呼吸がやや早くなる事や鰭の付け根や鼻孔の辺りが充血して赤っぽくなるところから始まり、症状が進むにつれて上記のような症状へ移行するのが普通です。すでに明らかな症状まで悪化してしまった個体は、残念ながら治療が成功する確率は低く、なるべく初期症状の段階で発見し、治療することが必要になります。

尚、非運動性エロモナス菌の感染によって発生する病気は「穴あき病」と呼ばれ、体表に充血を伴う潰瘍化が発生し、鱗と皮膚が溶解して筋肉が露出するようになります。穴あき病は水温20℃程度の低温を好むとされており、ラミレジィの適正水温である26~28℃で飼育する限りはあまり心配はありません。事実、私自身は長年に渡りラミレジィの繁殖を進めていても、この病気がラミレジィに現れたところを目にしたことは皆無です。

エロモナス症の治療方法

運動性エロモナス菌は水温25~30℃で繁殖しやすい菌とされており、ラミレジィの飼育水温とちょうど重複している部分になります。病気の進行速度は水温が高いほど早く進行し、治療も難しくなるため、ラミレジィが問題なく飼育できる水温の下限である水温22~23度ほどに下げるのがお勧めです。

治療に使用する魚病薬は抗菌剤であるタイプを利用するのが一般的です。オキソリン酸を主成分とする観パラD(観賞魚パラザンD)やグリーンFゴールドリキッド、サルファ剤と呼ばれるエルバージュエースやグリーンFゴールド顆粒などが用いられます。

オキソリン酸の治療薬はバクテリアへのダメージが低く効果も高いのですが、耐性菌ができやすいと言うデメリットも存在します。特にお店で薬を多用しているようなケースでは、エロモナス菌がオキソリン酸の耐性を持っている可能性があるので注意が必要です。

治療薬の投薬量ですが、ろ過がちゃんと機能している水槽ならラミレジィの薬物耐性は弱くないので、規定量の投薬で行っても問題はありません。薬の濃度が低すぎると、治療の効果も見られない場合があるので、薬害による斃死リスクが無い訳ではありませんが、躊躇い過ぎるのも治療の弊害となりえる事を認識しましょう。

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グリーンFゴールド顆粒はリキッドタイプとは
有効成分が異なる細菌感染用の魚病薬です。

エロモナス症の発病を予防する

魚の病気が発生するケースの大半は新しく魚を追加して水槽の環境に変化があらわれる場合に多く見られますが、
エロモナス症は普通に飼育しているだけで発生する可能性の高い厄介な病気です。

エロモナス症が発生する原因は、主にエロモナス菌が増えやすい環境、ろ過装置の定期的なメンテナンスを怠っていたり、床砂の汚れがひどい場合、水質の悪化やラミレジィの飼育に適さない水温・水質での飼育などが考えられます。

床砂はベアタンクでの飼育なら問題はありませんが、大磯砂などの砂利を使った水槽よりも、土を固めて形成したソイルを用いた方が、詳しい理由は不明ですが、エロモナス症の発生率は低く抑えることが可能です。

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JUN プラチナソイル ノーマル 3L

ソイルは水質をラミレジィの飼育に
適した弱酸性の軟水に調整します。
エロモナス症の発生も抑制できる点も
見過ごせないメリットと言えます。

また、エロモナス症の予防として有効なのはUV殺菌灯やヨウ素殺菌を用いた装置の継続利用です。これらの商品は水槽内のろ過バクテリアに影響を与えずに、エロモナス症や白点病、カラムナリス症などを抑制することができる優れた製品です。維持コストが必要な点がデメリットですが、大切な愛魚を守るために、このような装置を用いるのもお勧めできます。

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アクア工房 エアーリフト式殺菌筒 ミニ

ヨウ素を用いた殺菌を行う殺菌装置の一種です。
設置が容易で小型水槽に向いた設計になっています。

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